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2014/12/26

2015年1月11日 特講:その人らしさを取り戻すリハビリテーション in 和歌山

和歌山クリニカルリハビリテーション研究会

今回,友利さんが作業についての理論とエビデンスについて講義をします.
その後,ボクは実践について講義をしますが,メインはその後にあります.
和歌山の寺下病院に勤める若手,沖田直子さんと坂井優介さんの事例報告です.

友利さんと6ヶ月かけて介入をサポートしましたが,ボクらが助言したことは3つです.
「OTはどうしたいのか」,「どうすればできると思うのか」,「イイね!」
経験年数に関係なく私たちに意志があれば,
自分にも環境にも変化を起こせることがわかると思います.

今年は作業で語る事例報告が発売されました。
おかげさまで2回目の増刷になりそうです。
事例を書いているのは20〜30代の作業療法士です。

日本臨床作業療法学会が発起した年でもありました。
第二回大会は沖縄で開催されますが、演者の多くは若手です.
誰でも参加できる一般申し込みは12月31日が締め切りです.

学会申し込みはこちら

講習会や学会に参加して体験することは手段です.
目的は自分と社会のためにできる目標を探し,
目標に近づくためのルート確保ができることです.




和歌山の講義でボクが予定している事例報告メニューを紹介します.

①急性期から回復期(COPM,カナダ作業遂行モデル,上肢機能訓練)
交通事故によって遷延性意識障害と診断された児童の地域生活に向けて,母親へ面接して目標設定した事例

一生寝たきりだから施設に入れなさいと医師に言われた事例が,6ヶ月後には自宅に帰ってスプーンを使って自分でご飯を食べれるようになりました.それ以上の成果は,家族がこれから先に何があっても不安なく生活を共に送れると話したことです.私の人生を変えた事例です.

②回復期(作業科学,役割再獲得モデル,家族支援)
重度の遷延性意識障害が残存したクライエントが母親としての役割再獲得できるよう,家族による外出支援を実践した回復期リハ病棟の事例

回復期リハ病棟で最後に担当し,NSTとシーティングの技術で作業的存在に近づけたと思われる事例です.毎週,介護タクシーを使ってスタバで家族と嚥下訓練を繰り返し,10週間後には自宅への外出練習で家族が作ったご飯を食べることができました。

③通所リハビリテーション(OSA-Ⅱ,AMPS,人間作業モデル)
発症から7年が経過した片麻痺事例の主婦役割再獲得に向けた支援

週に1回だけ勤めていた通所リハで,介入して3ヶ月後にOSA-ⅡとAMPSが向上した事例です.車いすの生活は変わりませんでしたが,「あきらめていた役割を取り戻せた」と涙目で語っていました.作業遂行レベルが変化すると環境からの期待も変わります.

④通所介護(ADOC,作業科学,就労支援)
15年ぶりに仕事を再獲得できたと感じれることを目標にした通所介護の支援

週に1〜2回の介入で3ヶ月後に本人が選択した作業の満足度が向上した事例です.重度の失語症と運動麻痺は残存していましたが,事例にとって大事な作業を共に発掘できました.支援することが必然的に決まっていく過程にこそ,作業療法らしさがあります.

⑤特養ホーム(ADOC,訓練計画書作成,チーム連携)
入居から10年が経過したクライエントに対する価値ある役割再体験の支援

いわゆる10年おでんです.動画はよく流しますが,評価から介入までの過程はあまり報告したことがありません.これは同僚の介入で、介護保険サービスにおいてチームと連携して作業療法を実践するためのヒントが得られると思います.

⑥特養ホーム(ADOC,認知行動療法,家族連携)
無断離棟を繰り返す認知症高齢者の役割再獲得に向けた支援

こちらも同僚の介入で,問題行動と呼ばれている行為の意味と目的を丁寧に探って計画的に支援した事例です.特養ホームは長期的に関わるため作業遂行レベルが低下する場合も多く,作業療法の成果は何をもって測るのかと悩む時にいつも思い出します.


近畿地方のみなさんと共に作業療法を模索できる機会が今から楽しみです.

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