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2014/05/28

スペシャルな技術を持ったゼネリストになろう

竹林崇さんはスペシャルな技術を持ったゼネリストだった.上肢機能というよりは退院後の生活に焦点を当てているので,必然的にマネジメントを重要視していた.スペシャリストは職人で守備範囲は狭く,他の追随を許さない専門技術が絶対的な武器になる.ゼネリストはオールラウンドプレイヤーで,最低限の専門技術と高いコミュニケーション能力が武器になる.


医療ではスペシャリストが求められ,介護ではゼネリスト寄りのスペシャリストが,地域ではゼネリストが求められる,と個人的に思っていた.でも,竹林さんと話をしているうちに,領域に関係なく求められるのは,スペシャルな技術を持ったゼネリストだろうと考えるようになってきた.


急性期、回復期は病院完結ではなく、退院後の生活の質が高まるように求められている.今はまだ具体的ではないけど、これからは情報交換だけではなく、切れ目なく支援が提供できるよう、具体的な支援の内容についても求められてくるはず.筋緊張の程度やADLの介助量ではなく,生活に影響を与える支援の実践と報告が義務づけられるかもしれない.


また、通所施設においては単価が高くアウトカムについての算定条件が厳しい小規模短時間の機能訓練型、現在の通所介護施設における機能訓練加算Ⅱが標準的サービスの自立支援型、従来のサービス内容でレクリエーション型に機能分化されると思う.デイサービスとデイケアの違いについては医師の既得権益が関係してくるので,よくわからない.


このような環境の中で求められる専門性を考えた結果,経験年数や年齢に関係なく,作業療法士はスペシャルな技術を持ったゼネリストとしての役割を社会から期待されていくだろうと思う.まあ,作業療法士だけの話ではないかもしれないけど.





↑ 5時間の講義中に10分間の休憩があったけどその間も質疑が絶えず,疲れきっているはずなのに爽やかに手取り足取り教え伝える男


沖縄臨床作業療法実践研究会の主催で,2014年5月24日に兵庫医科大学の竹林さんによる上肢機能訓練の講習会を沖縄の大浜第一病院で開催した.参加者はPT2名,医師2名,OT90名という異例の参加者数だった.印象に残ったのは3点.


1.麻痺手の予後予測に対する正しい理解
2.行動変容を意識した機能訓練と細かな難易度調整
3.Transfer packageにおける問題解決技法の重要性








この3つは作業療法士の行動変容を促進する場合も有効な方法だと思い,自分が作業療法を提供されている気分になった.できないという思い込みから脱却するために根拠を追求,習慣的に行動できるという目標に向かうための細かい段階付け.そして,自分の中にある既存の価値観と新しい価値観のギャップを分析し,二者択一いうよりはベストな選択を模索する過程で得られる思考パターンの獲得.


「さぁ,君は何のために,誰のために,どう変わりたいんだ?どのような社会に変えたいんだ?どうやれば実現できると思う?実現したかどうかは何をもって判断する?目標が決まったなら確実にできることからまずやってみよう,それは君が決めたことだろう,変えると決めたのは君なんだろう」


と彼に言われている気がして,うぉぉぉお,おれはやるぞー!という気持ちになった.これこそが,スペシャルな技術を持ったゼネリストの技だなぁ.知識と技術を与えるだけではなく,行動変容できるようにマネジメントすること.どの領域,病期においても作業療法士に求められる専門性だと再確認できた.根拠もなく仮説の仮説をするなよと言われそうなので,ここまで笑.



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