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2013/11/08

事例報告のススメ

40分前に36歳になったよ.この1年で10年分の身体と頭と心を使ったね.
ヤバいと2回ほど思ったけど,今になって思えばそうでもない.
36歳までの10年を振り返っていたら,事例本に辿りついた.

先日,2013年度の九州PTOT合同学会の抄録集を開いた.
指定演題の一発目がADOCの事例報告だった.
しかも会場は熊本県.

初めて沖縄県外の学会で発表したのが九州PTOT合同学会で,
それがちょうど10年前で熊本だったことに,巡り合わせを感じた.
琉球OTの臨床を変えた事例報告と,それからの10年について.






学院始まって以来の最低な頭と心を持った学生と言われたOT養成校を卒業して,精神科に就職して3年が経ってから回復期リハ病棟に就職した.それまでの4年間,学会なんて参加したことも無く,発表する人なんて自信があって,時間があって,臨床力のある一部の人だけだと思っていた.今なら,間違いだと気づくけれど,その時は信じて疑わなかったし,自分を救うために必要な理由だったのかもしれない.

それからtomoriくんに導かれて作業科学,作業行動理論,カナダ作業遂行モデルを学び始めた頃に出会ったクライエントは,交通事故にあって植物状態と診断された6歳児だった.8時から20時まで病棟で介入や面接をする生活に,日曜日も公休日もなかった.このクライエントの人生に貢献できなければ,仕事を辞めようと覚悟していた.6ヶ月後に児童の身体機能,ADLと,クライエントに定義した母親に理想的な成果が出た.

作業科学,カナダ作業遂行モデル,人間作業モデルを実践しているOTも少なかったし,成果も得られたので学会に発表しようと思った.それでtomoriくんに助けてもらって抄録を作成したのだけど,抄録作成の3ヶ月間がクライエントに関わった臨床の6ヶ月よりも濃厚だった.自分が感じたこと,考えたこと,伝えたこと,クライエントや周囲の反応,そしてまた感じたこと,考えたこと・・・と,振り返ること.



考えて,感じていたつもりだったけど,不十分だったこと気づいた.改めて客観的に考え,感じることができた.これは報告しようと思って行動しなければ,いつまでも得られない経験だと知った.自信と時間はなかったし,臨床力だって思い描くようにはなかったけど,事例報告を作成することは止められなくなっていた.他人の声に対して必要以上に敏感にならなくなった.

自信を持ってからやるものではなく,時間が余ってからやるものではなく,臨床力が高まったと感じてからやるものではない,と気がついた.作業療法士が自信を持って,時間を大事にして,臨床力を高めるために,事例報告を多くの人ができるようになった方がイイと思うようになった.そのために沖縄の作業行動研究会,作業科学研究会,作業療法教育法研究会の発起,運営に時間とエネルギーを費やした.この期間はいつも焦っていた.

それで,つむぎOTのharadaくんいきがいのまちOTの田村,田中さん,ちびっこOTさんに対して,研究会を運営すること,研修会を開催すること,事例報告をすることについて執念深く問いを投げてきた.彼らは意味と価値をわかっていたけど,そのための方法がよくわかっていなかった.ボクはわかっていなかったけど,だからこそ,何をするべきかと互いに問いを立ててきた.



侍OTとtomoriくんがめがねOTさんと一緒に事例本の企画を提案したきた時に,同じような道を歩んで臨床と教育と研究をしてきた人なんだとなと再確認した.何のために事例報告をするのか=Why,事例報告をした結果=Whatはわかっていたのに,事例報告をするための方法と効果=Howが曖昧だったってことに気がついた.思い描いていた社会貢献のためにできることは,コレだと思った.いま,事例本は順調に仕上がりへ向かっている.

今までの10年を振り返り,次の10年を考えて,自分のための日記.


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