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2013/10/29

ADOCとOSA-Ⅱ

先日,人間作業モデル講習会(MOHO)で後輩が事例報告をした.何もしたくないと訴えた通所利用者へ対する作業に基づいた支援.評価ツールはADOCとOSA-Ⅱ.講師はOB研会長の山田孝先生.ボクは参加できなかったので,後日どのように助言をもらったか確認をした.



「評価,介入,結果のすべてに言えるが,事例は少し楽観的過ぎるのではないか.これは全体の解釈に影響を及ぼす可能性もあるのでは?」というコメントだったらしい.面接,介入,抄録の作成をサポートしていたので,講師が何を伝えようとしているか,わかった.少し違和感を感じていたけど,曖昧にしていた点だった.実際に面接場面へ立ち会っていないのに気づいた講師がスゴいなと思った.


今回,ADOCとOSA-Ⅱを併用した理由は,補い合うためだった.ADOCはクライエントの価値のある作業を特定し,作業にまつわるエピソードを引き出すためには使いやすい.でも情報を解釈し,支援プランを構築するには知識と経験が必要な場合もあると思う.OSA-Ⅱは作業についての自己評価を明確にし,得られた情報の解釈と支援の道筋を整理するために活用できる.でも作業を特定することが難しかったり,特定の作業についてエピソードを引き出す技術が必要な場合もある.そのため今回は後輩に併用を促した.


違和感はADOCとOSA-Ⅱのいずれを使った時も感じていた.違和感を説明して理由をクライエントに確認したが,明確な回答を回避するような反応だったので,曖昧なままにしていた.もう少し深く確認するべきだったと今になって思う.目標が作業であれば取りあえずそれでもイイかなという妥協があったのかもしれない.その後の経過と結果から介入方針が誤っていたとは思わないが,満足度が予想よりも上がっていなかったのは事実だった.


そこで先日,クライエントに改めて面接結果を並べながら確認をした.予想外に返答は明確だった.生活活動の介助量が変化しないことに対する不安と焦りが根本にあった.そこから医師やOTに対する疑念を胸に潜ませていたこともわかった.解釈と対策についてクライエントと協議した結果,多くの介助を必要とする通所での役割獲得は継続することになった.それに加えて,自宅の生活パターンとクライエントが感じる役割に影響を及ぼす支援プランにも取り組むことになった.



今回,抄録を作成するために人間作業モデル第3版を読み直し,OT実践において非常に力強い助けになる理論だと思った.ADOCだからこそスムーズに導き出されたエピソードやクライエント自身の解釈もあった.ADOCあるいはOSA-Ⅱのどっちでも評価,目標設定,支援プラン作成を十分に練ることは可能なクライエントもいると思う.


ADOCの方がより良い過程と結果を導く場合も,OSA-Ⅱの方がより良い場合もあるかもしれない.そして今回のように併用することがベストな選択になる場合も,あるかもしれない.この考えが正しいかどうかより,より良い選択がある可能性の存在に気づくことが大事じゃないかと,個人的に思う.


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