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2013/07/26

機能訓練加算と作業療法 2

わからない人は作業療法は楽しいと話し,
わかる人は作業療法は難しいと話すけど,
よくわかる人はやっぱり楽しいと話すよ.

よくわかる人,とは読んだ本の数が多い人のことではなくて,
一生忘れられない支援をした対象者の数が多い人のことです.
難しさを知った上で,挑んで成果を出して,わかった人です.

今日も和歌山の回復期リハ病棟で働く友人から嬉しい報告があった.
それはムリだと,本人,家族,職員に言われながらも,
ADOCに基づいて,家族のためにカレーを作る自分を取り戻す挑戦を支援したという.






県社会福祉協議会からリハ専門職を対象にした研修会を依頼された時,
伝える内容に間違いがあってはいけないと思って,
監査や指導を担当している市役所と保健所に確認をした.


保健所編

Q.通所介護と特養ホームにおける機能訓練加算は,
歩行訓練,立位保持訓練,関節可動域訓練などの機能訓練でなければ,
請求できないのでしょうか?

A.そんなわけないでしょ.
通所介護,特養ホームに限っていえば,Ns,PT,OT,ST,マッサージ師等の
誰でもいいわけですよ.現在の介護保険制度だとね.

その施設にOTとかSTやNs,マッサージ師しかいない場合もあるわけで,
まさかNsやマッサージ師に歩行訓練をしなさいとは言わないでしょ.
OTは活動,STは嚥下訓練などを通して機能訓練をするに決まっているでしょう.

Q.でも,多くの施設や職員はリハビリ=歩行訓練,関節可動域訓練と思っていますよ

A.介護保険白書などをちゃんと調べて読んでいない一部の人だけじゃないの.

Q.いやいや,そんなことないですよ笑.ちゃんと指導した方がいいですよ.

A.そうなの?じゃあ,研修会でしっかりあなたが伝えておいてくださいよ.






市役所編

Q.通所介護と特養ホームにおける機能訓練加算は,
歩行訓練,立位保持訓練,関節可動域訓練などの機能訓練でなければ,
請求できないのでしょうか?
デイサービスで担当50名,特養で100名となると現実的にムリなんですけど.

A.あのね,私たちはずっと以前から指導しているんですよ.
平行棒の中で3mしか歩けなかった人が,5m歩けたから何なんですかって,ね.
歩いて園芸ができるとか,買い物に行けるとか,料理ができる,とか,
そういうことを計画書の支援目標に書きなさいって言ってきたんですよ.

歩行訓練が良いか正しいかとかじゃなくて,
目的がやりたいことにつながる,現実的に到達可能なら歩行訓練でも算定可,
筋力維持とかADL維持が目的の歩行訓練なら算定不可とまでは言わないけど,
何のために歩行訓練しているのかを本人からちゃんと聴きなさいってね.

計画書をちゃんと作っていれば生活介護や行事を通して加算は請求できるでしょ.
園芸や料理や手工芸をやってもらって機能訓練加算を算定可能かと言えばね.
それが生きがい作りとか,趣味作りなら算定不可と判断することもあるわ.


Q.あー,趣味とか生きがいって他人が何をやらせて与えるものじゃないですよね.
計画書の目標に本人がやりたいと訴えたことを入れなさいってこですね.
ここにあるADOCのように,ですね.

A.そうよ.老健やデイケアならもっと明確に到達時期を入れなければいけないし,
それを実現するための機能訓練も実現可能なら組み込んだ方がいいわね.
でも,特養やデイサービスは生活を支援する場所でしょ.

目標が明確なら,実際にそれができるように支援したり,
それが継続してできるような支援だって機能訓練加算を請求することは可能ね.
それはちゃんと介護保険白書などに書いてあることでしょ.

Q.このADOC評価表を機能訓練計画書にしても問題はないのですね?

A.いいと思う.でも,モメるでしょうね.
今までのやり方を否定するんですかって言う人がいるだろうし,
逆にこの計画書を書いた人に任せますって丸投げする人もいるでしょうね.

Q.ええ,そうですね.でも,やらなければいけないでしょう.
いつか,誰かが,このような形で価値観の変換を促さなければ,
いつまでも何も変わらないと思いますよ.






A.そうなのかもしれないね.じゃ,がんばって.

Q.やるなと言われてもボクはやりますよ.
やらなきゃ課題もわからないし,課題がわからないと対策もできないので.
・・・あのぅ,でも何かあったら相談に乗ってくださいね.

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